お題の通り男雛のお衣装は天然染料で染めた「黄櫨染」です。
「黄櫨染」とは、天皇のみがお召しになることが出来る衣装で「桐竹鳳凰麒麟角文」という柄も決まったものです。
一般にお人形店さまでもお取り扱いの「黄櫨染」は天皇の衣装を模したもので絹織物を化学染料にて染めたものばかりでした。
もちろん、私どもでお作りするお衣装もそのようなものでした。
が、「平安時代の高貴な方が座っていらっしゃる姿」を小さくして表現したい思いの中で当時の衣装の再現は外せないものでした。
そこで寿峰の染色に関する師匠のお一人でもある草木染めの天然色工房「tezomeya」の青木正明さんに相談をし、出来上がったのがこちらの男雛の衣装になります。
「櫨(はぜ)」と「蘇芳(すおう)」という染料で染めるのですが、未知の世界。
時には山へ入って伐りだした「櫨」の木を染料にしたりもしましたが、中々うまくいかず数年。
様々な方のご協力や応援のお陰でようやく完成した素材を衣装にしたものです。
色の深みもそうですが自然の力でこんなに美しい色が表現できるのがすごく不思議で最初にできた時は感動モノでした。
また「天然染料」であるが故のこともあります。「自然」を相手のことですので安定的に同じ色を再現するのが非常に難しいいんです。
現在のように色を「数値化」し、同色量産されることを前提としない平安時代は、「どんな染料?」「どんな材料?」といったレシピ重視の世界だったそうです。
そして材料重視で作られたものが正解とされてきた世界。同じ「黄おr染」でも時代によって多少の変化があったとされています。
こちらの難しそうな書物は江戸時代に使われていた装束の教科書のようなものです。
書かれているのはまさに「黄櫨染」のレシピ。
これらは平安時代の菅原道真公たちが編纂したといわれています。
その内容にできるだけ近い材料で出来上がりました。
女雛にも「蘇芳の匂ひ」と呼ばれる赤紫系のグラデーションのかさねにしてみました。
梅色の唐花文の唐衣との相性も良いのではないでしょうか。
この衣装のお雛さまも先日ご注文をいただきましたので残りが1着分となりました。
是非、ご検討くださいませ。