1 飾る場所について 三世代が一つ屋根の下に生活する時代、多くの一戸建ての家にはお座敷と床の間がありました。現在も昔ながらの日本家屋にお住まいでしたら、雛人形は床の間に飾られるのがオススメです。 元来、床の間はその家の繁栄をあらわすものであり、畳の部屋の一番良い場所に作られる、最も上位の空間です。そこに雛人形を飾ることが、家全体で女の子の無事の成長を願うことにつながります。 床の間に 「三段飾り」 幅95cm × 奥行95cm × 高さ95cm 床の間に掛け軸とともに飾る 「有職立ち雛」 約幅80cm × 奥行40cm × 高さ75cm 赤ちゃんのいるご夫婦はマンションやアパートにお住まいのことも多いでしょう。おうちに床の間がない場合、まず、お客様を招いてお祝いする場面を想定して、飾るお部屋を決めましょう。 また、飾る場所を広く取れないことが多いため、コンパクトタイプの雛人形が人気です。 雛人形のサイズはコンパクトでも、大切な女の子のための雛人形ですから、たくさんの人に見ていただける場所に飾られると良いでしょう。 リビングのサイドボードに 「親王飾り」 幅75cm × 奥行40cm × 高さ37cm 広いお部屋であっても場所が取れない場合は、子ども部屋のタンスやキャビネットの上でも問題ありません。 子供部屋に姉妹仲良し 華やかに 「親王飾り」「立ち雛飾り」 幅180cm × 奥行40cm × 高さ38cm 小さな家具の上にも 「芥子雛飾り」 幅60cm × 奥行35cm × 高さ30cm 2 飾るのに縁起がいい場所や方向は? 床の間に飾る場合やリビングに飾る場合、まずは上座の南向きに飾ることをご提案致します。 一般的に、雛人形の向きは南向きが良いとされます。そもそも雛人形が京都御所の紫宸殿で行われる天皇陛下の儀式を模していることに加え、「天子南面す」という言葉に由来しています。 いつものリビングが華やかに 「親王飾り」「立ち雛飾り」 幅180cm × 奥行40cm × 高さ38cm ですが、以上のことは決まり事ではありません。飾りやすい場所・飾りたい場所に飾っていただくのが一番です。 雛人形は立春を迎えたらいつでも飾ってよいとされますが、遅くとも雨水の日までには飾りましょう。二十四節気に数えられる雨水の日は、立春から数えて15日目あたりで、「雪が少しずつ雨に変わり、春に向かう」とされる日です。雨水の日(2月18日頃)に雛人形を飾ると女の子は良縁に恵まれると言われております。 3 飾るのを避けたほうがいい場所は? 雛人形は、直射日光・極度の乾燥・高温多湿が苦手です。 日光が入るお部屋であれば、直射日光が当たらないよう窓から離れた場所をお選びください。 衣裳の色褪せを防ぎ、人形以外のお道具類も良い状態を保てます。 また、雛人形を飾る季節はまだまだ寒さが続く頃です。暖房を使われるお部屋では、エアコンやヒーターの風が当たり続ける場所を避けていただくのが安全です。雛人形のお顔にとって、乾燥しすぎはひび割れや剥がれの原因になります。 4 お雛様をしまう時、気をつけることは? 雛人形にとって、高温多湿は大敵です。飾る季節の2〜3月は気候的に高温多湿となることはあまり心配ないのですが、しまわれる際には配慮が必要です。 カビやシミの原因を作らないよう、高温多湿となる保管場所はお避けください。例えば、屋外の物置や、結露が出るお部屋の収納スペース、また湿度の高い部屋の押し入れの天袋などは避けていただいたほうがよいでしょう。また、しまわれるときには、雨や雪の日を避け、湿度の低い晴れた天気が続いた日をお選びください。 できることなら、秋にも一度箱から出してあげましょう。ちょうど桃の節句から約半年後にあたる旧暦9月9日は「重陽の節句」です。この日は別名「後の雛」とも呼ばれ、江戸時代には菊の花とともに雛人形を飾る習慣がありました。しまったままになっている雛人形を秋の空気に当てることは、お人形を良い状態に保つために有用な習慣でした。