『源氏物語』。
今から1000年以上の昔、紫式部によって書かれた物語で世界中にファンがいらっしゃいます。
最近ではNHK大河ドラマ『光る君へ』で取り上げられていることもあり、皆さんもよくご存じのことと思います。
この『源氏物語』は、私たちの仕事にとって切っても切れないものでございます。
衣装の「柄」や「色合わせ」、また当時の貴族社会の「生活」を知るうえで大変貴重な資料でもあるのです。
そんな資料に基づいて、今から30年以上前に発表したのが『源氏物語』です。
作中の主な4人の女性と光源氏を中心に物語中の「色合わせ」を再現し、お人形にしたものです。
「光源氏」(背の高さ:25cm)
白い有職の衣装を「直衣(のうし)」に仕立てました。右手には「笛」を持っていらっしゃいます。
「紫の上」
平安の女性を表現するにあたり、当時の座り方「立膝」にし、歌を詠む姿で作りました。
手にする小さな「筆」は先代寿峰が作ったもの。
髪の毛も「垂髪(すいはつ)」という平安時代の髪型で、お雛さまの「大垂髪(おすべらかし)」とは違う、長い黒髪です。
「葵の上」
若い姿を表現するため「細長(ほそなが)」の衣装にし、かさねも明るい色で若々しく合わせました。
「夏の女房」
夏には「涼し」の織物をお召しになり、彩りも爽やかな色目で表現。
「秋の女房」
「二倍織物」の袿絹(うちぎ)に秋色の重ねで。
「冬の女房」
「唐衣(からぎぬ)」まで着せ付けた衣装。
このような四季を取り入れた様々な「物語衣装」の人形を約50体ほど再現しました。
また古文やかな文字などには専門家の協力が必要であり、織物に関しても理解あるプロの方のご尽力のもと出来上がりました。
主な織物は「山口美術織物」さまと「伴戸商店」さまに依頼し織っていただきました。
併せて『御殿』は、「総檜造り」で製作には「東映京都撮影所」の皆さまにご協力いただきました。
ここに挙げさせていただきましたお人形は当時お作りしましたほんの一例。
最近では、海外の方から「女房だけ作ってほしい」といったご要望も頂戴しております。
今回こちらで初めてご紹介させていただきましたが、ご要望がございましたら喜んでお作りさせていただきますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
またこれらはお雛さまではございませんが、同じ源氏物語の「かさね」の色目でお作りしたお雛さまもございます。
そちらのご紹介はまた後ほど。。。