今年、何度もお伺いしました「高崎市染料植物園」さまのご案内です。
すでに終了してしまいましたが、企画展の一つにとご依頼を頂き立雛を納めさせて頂きました。
お衣裳は天皇陛下のみお召しになられるという『桐竹鳳凰麒麟文黄櫨染』になります。
この男雛は、「天然色工房 tezomeya(http://www.tezomeya.com/)」の青木さんにお願いして染めて頂いた裂地を衣裳にしています。
平安時代に出来たお公家さんの決まり事ともいうべき「延喜式」というものがあります。今の「有職」の元になったようなものでしょうか。
その中に『黄櫨染』に使われる染色材料が著されていてその当時の記述に限りなく近づけた材料を使って染めています。
実は、最初に青木さんと古代染色の話をしていた際に話が出てからこの染色が出来上がるまでに数年かかりました。
それは「材料はわかるけど、櫨はどこにあるの?」といった状態で「櫨」を手に入れる方法が見つからずあちこち探しまわりました。
染料に使える「櫨」があると聞けば、時には山に入って木こりのように木を切りだしたりもしました。
そして青木さんも手探りで何度もトライして頂きましたが中々うまくいきませんでした。
そして福岡で櫨の栽培をされている櫨文化協会(http://hazebun.jp/)さんと出会い染料としての「櫨」を分けて頂くことでようやく数年前に完成しました。
今回、そんな苦労して出来上がった裂地を衣裳として立雛に着せ、草木染めに特化した高崎市染料植物園さまにお納め致しました。
本当はもっと早くに告知するべきでしたが、今日になったのには理由があります。
と、いうのも今回のご依頼は男雛だけでなく女雛の製作も依頼されていました!
見える裂地は表生地から裏地、袴に至るまですべて『天然染料』を使ってまたもや青木さんの手で染めて頂きました。
こちらが、その裂地です。
『唐衣』には【山口美術織物】さんが「天蚕糸」で織られた着尺地(女性のお着物になる生地)を使い、
『表衣』には【伊と幸】さんで織られた「松岡姫」の小葵地の着尺地を
『重ね』も表地、裏地とも、また『袴』に『衿』もすべて「天然染料」で染めて頂きました。
また今回キュレーターさんからのリクエストで『松重ね』という色目を作らせて頂きました。
こちらの製作に手を取られている間に先の展示が終了してしまうという失態をしましたがこちらの女雛はすでに展示されているとのことで今回、ご案内させて頂きました。
高崎市染料植物園 (http://www.city.takasaki.gunma.jp/docs/2017082200011/)
〒370-0865
群馬県高崎市寺尾町2302-11
TEL:027-328-6808
女雛は、日本の染織文化史の流れに沿った展示のなかで、「襲の色目」を紹介するコーナーで展示して頂いております。
「『松重ね』で令和2年の新春を彩らせて頂きます!」とはキュレーターさんのお言葉。
お近くの方は是非行ってみてください。
また「おみせ」でも天然染料のお衣裳のお雛さんについてのご相談もお待ちしておりますのでお気軽にご連絡ください。