私たち人形作りに欠かせないのが「良い織物」との出会いです。
「色」「柄」「織り組織」などなど様々な角度から見て考えます。
「どこに使おうか」
「どんな大きさのお衣装にしようか」
「どのような組み合わせにするか」
「どうしたら生きてくれるだろうか」
などいろんな思いを巡らせます。
そこには織手の方の思いや「物語」も詰め込まれていますので一つずつ紐解きながら「対話」をしていく。
そんな時間がじつは好きな時間であり大切な時間でもあります。
そんな今、京都の西陣や丹後の織物屋さんの廃業がどんどん増えていっています。
全盛期である昭和の時代には日本の基幹産業の一翼を担っていた京都の織物産業でした。
さらにもっと昔には「京の着倒れ」という言葉まで生み出しました。
もっともっと昔には海の向こうから「秦氏」がやってきて絹織物の技術を伝えたのも京都でした。
京都は織物と共に歩んできた街でもありました。
しかし、現在は売り上げや従事者の数も激減しています。
腕のある職人さんは高齢となり、事業採算に合わなくなった会社は廃業を決める。
素晴らしい織物を提供してくれていた織物屋さんがなくなる。
禅問答のような問いかけをしてくる織手さんがいなくなる。
それは余りにも悲しく、寂しいです。
大切な宝物を失くしてしまうようで「何かしないと」という気にさせられてしまいます。
私たち、人形司にできることは、その素材をいつまでも形に残るようにする。
後世まで伝えて頂けるものに変えることも私たちの使命のひとつなのかもしれません。
そんな「ロストテクノロジー」となってしまった貴重な織物の数々をお雛さまに纏わせる。
そして織手さんの「想い」や凄い「技術」、仕事に賭けた「情熱」を未来へ語り継いでいきたい。
今回、そんな思いで作りました逸品のお雛さまをご紹介させていただきます。
普段はお子様への思いをお雛さまに変える仕事ですが、今回は織手さんとその技術への畏敬の思いで作りました。
この特設ページでご紹介しているお雛さまは、後にも先にもこの一組だけしかお作り出来ません。
その思いの詰まった織物でできたお雛さまを是非ご覧ください。
特設ページはこちらから。