吉祥について~雲立涌文黒地御袍より~

雲立涌文
今日、お得意様よりお問い合わせがありました。
『よく「吉祥文(キッショウモン)」ってあるけどなんなの?どういう意味なの?』と。。。

それでは少し「吉祥」についてお話しします。
たまに耳にする「吉祥」とは、一種の思想を指します。
人間の願い、「無病息災」であったり「子孫繁栄」であったり、ときには「永遠の繁栄」であったりするそんな「願い」を宮中では特に「儀式」や「形」や「色」にその願いを込めることが多くありました。
現在でも皇居では願いが叶いますようにと様々な儀式が一年を通して行われていますし、私たちも初詣に神社へお参りに行ったり、子供を授かったら様々な儀式やしきたりを行い願う事で受け継いでいるのだと思います。
もちろん「初節句」を祝うこともそうです。
つまり、究極のプラス思考で出来上がった考えや形をひとくくりにして「吉祥」と呼びます。

さてさて、こちらのお雛さん。
名前を「雲立涌文黒地御袍(クモタテワクモンクロジゴホウ)」といいます。
この「雲立涌」という柄も先の「吉祥」に通じます。
にわかに立ちのぼり始めた「雲」は、天を覆い尽くす勢いで広がっていきます。
その勢いに交錯する沢山の道筋は絡むことなく永遠に続いていく様子を表しています。
また、女雛の一番上のピンクの衣装を「唐衣(カラギヌ)」と言いますがそちらの地模様に
使われている「亀甲」柄も六角形の連続柄であり、その上を向かい合った「蝶々」が丸い文様にして織ってあります。
ご存じのように「鶴は千年、亀は万年」その亀の長寿に願いを込め、
丸い蝶には上も下もなく円卓のように全てが「円満」に行くようにとの願いが込められているのです。
そんな意味のある衣装を身に纏ったお雛さんがこの「雲立涌文黒地御袍」です。

京七番親王「雲立涌文」 soldout