寿峰作「草木染黄櫨染」

 

昨日に引き続き、本日も「吉徳大光 浅草橋本店」さんにて寿峰が製作実演をさせて頂きました。

お立ち寄りくださいました皆様、誠にありがとうございました。

 

さて、今日は「今年」の「草木染黄櫨染」をご紹介致します。

なぜ「今年」を強調したかと言いますと、毎年染め上がりの色が変わるからです。

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今年のお色です。

 

 

黄櫨染はもうご存知の方も多くいらっしゃるかと思いますが、天皇陛下しか着用できない

禁色です。それは平安時代から今もなお、続いています。

では、なぜ禁色なのか。

一つはその神々しいお色です。

「黄櫨染」の色合いは「黄赤色」と表現されます。原料の「櫨(はぜ)」の木に含まれる黄色に

「蘇芳(すおう)」の赤を掛け合わせた色なのです。

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光の効果でで赤みが見えます。

 

西暦820年から嵯峨天皇により黄櫨染御袍が使用され始めたとの文献が残っているそうですが、

この時から、「高貴な色」が「黄櫨色=黄赤色」となります。

当時影響を受けていた中国(唐)では、皇帝が着用する色は「太陽が昇り光り輝くような色」でした。

それに習い、「黄赤色=輝く太陽」と連想し、この色を作るのに「櫨と蘇芳」を用いたのだと考えられます。

そしてその色を、嵯峨天皇は絶対禁色としたのです。

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上と同じお着物を暗がりでフラッシュ撮りしました。輝いています・・・

 

そして二つ目の理由は、その染めの難しさにあります。 黄櫨染は原料の櫨(はぜ)が採れた時期、

染める日の気温・湿度・温度・・・等々、全てが色に反映されます。

草木染自体、安定したお色を出すのは難しいのですが、黄櫨染は中でも特に難しいのだとか。

それが、冒頭で「今年の色」と申した所以でもあるのです。

 

927年に完成した「延喜式」で、御袍に使う黄櫨は「黄櫨綾一疋ニ。櫨十四斤。蘇芳十一斤」と

その染料配合の割合がしっかりと定められています。

その配合通りに、毎年京都の草木染職人である「手染メ屋」さんに染めて頂いているのですが、

昨年の12月に今期分の第一弾が染め上がりました。

その時の様子をfacebookに載せられている(12/13付~)ので、ぜひ併せてご覧ください。

https://www.facebook.com/tezomeya/

ちなみに現在、第二段を染めて頂いておりますが、そちらもアップされています☆

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こちらは3年前に染めて頂いた生地で作った黄櫨染です。

今年のに比べて赤みが強いのがお分かりいただけますでしょうか?

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女雛のお衣裳です。

黄櫨染に合わせた絶妙な色合いの朱赤に、深い緑が映えます。

重ねには綺麗なピンクを入れて優しくしていますが、全体にとても上品な仕上がりです。

 

草木染黄櫨染は年々、色が変化していきます。

櫨の黄が強いか、蘇芳の赤が強いか。

実際に変化してみなければ分かりませんが、それを私供は「成長」と捉えています。

ご縁のあったお子様と一緒に成長する、それが叶うのは草木染だけの大きな魅力なのです。

 

 

※「草木染黄櫨染」は毎年大変ご好評を頂いておりますが、染めからのすべてを職人による

手作業で行っているため、あまり数が出来ません。

また、染め上がりのタイミングでお待ちいただくこともございます。

もしご興味をお持ちいただけましたなら、早めのお問合せをお願い致します。